ケニアで田舎生活始めました。

青年海外協力隊として、ケニアで田舎暮らしをしています。全寮制の学校で生徒と生活中。ポレポレ生活情報をデリバリー(お届け)します。

事件 danganya編

青年海外協力隊二本松訓練所ではスワヒリ語、ナイロビでは12日間のスワヒリ語の訓練?学習をしてきたわけだが、当然ながら知らない単語は山ほどある。

 

今回はdanganya という言葉と共に、もうずいぶん前のことだけどterm2の終わりに起こった事件についてデリバリー。

 

8/8にナイロビで行われるケニアミュージックフェスティバルに向け、選抜メンバーの生徒30人はterm2を終えても学校に残っていた。(この間、音楽担当の先生が一人だけ一日のうち一時間出勤したりしなかったり…)


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そろそろ日が沈むかな…という頃、生徒の一人(タスくん:仮名)に

「ちょっと話があるから来てほしい」と呼び出される。日本の中学生なら確実に告白か?!とソワソワするシチュエーションである。

私「どうしたの?」

タス「僕を助けてほしい。おばあちゃんが死んだのに、帰れないんだ、お金を貸してほしい」

私「え!?いくら必要なの?」

タス「500シル…」

 
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500シルというと、生徒にとって結構大きい額。でも、彼の住む町はとても遠いので500シルくらい必要なのも分かる。

 

詳しく話を聞いても、おかしなことは言っていなくて現実味を帯びてきた。この学校では、基本的に保護者が迎えに来ることが前提になっているようで生徒はお金を持っていない。でも、おばあちゃんのお葬式に行けないなんて…!かわいそうだ。。

 

本人に確認すると、必ずお金は返すという。

どうしたらいいんだろう。

 

でも、いくらしっかりした子とは言えお金は貸せない。

 

「ごめん、お金は貸せない。あなたにお金を貸すと、みんなも借りたくなるでしょう?あなたを助けたい気持ちはあるんだけど、お金を貸すことはできない。」

 

タスくんはとぼとぼと去っていった。

良心が痛むとはこういうこと、その姿に思わず涙が出てきた。困っているのに、お金を貸すことができないなんて、あの子はおばあちゃんに最後に会うことができないんだ。。

ごめんね…と思いながら涙が止まらない。

 

そこにたまたま通りかかった、寮母さん二人。

 

「なんで泣いているの?!」

 

いきさつを話すと

 

「Anakudanganya!」

Danganya?!それってなーに??辞書で調べてみる。

Danganya  だます、欺く

✳彼はあなたをだましている。✳

 

?!?!じゃあ、誰も死んでないの?と尋ね、yesの返事をもらって更に泣けてきた。

そっかー、誰も死んでないならよかったー。

その後、その生徒がこっぴどく叱られていたのは言うまでもない。

 

では、なぜ彼はお金が必要だったのか。

後々、いろんな人の話をまとめると

▪足がいたい

▪ダンスが嫌いだからミュージックフェスティバルに出たくない

▪おばあちゃんが入院しているのは本当

ということが分かってきた。

 

就寝前にもう一度、彼と話をする。本当のことを教えてほしかった と伝えるとしょんぼりとしていた。もっと語学力があれば、、、と正直思わなくもないけど、仕方ない。

 

次の日、彼は寮母さんから話を聞いた先生と共に自宅へ帰っていった。ケニアミュージックフェスティバルには出なかった。

 

danganya事件を無事に乗り越え、子どもたちと接しているとdanganyaという言葉、よく出てくる。友達同士で遊んでいるときや勉強しているときなど。

 

結構使える言葉、danganya。

いつ起こるかわからないdanganya。

 

どんな所にくらしていても自分はdanganyaしない人でいたいと思うのでした。